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相続財産管理人の選任 |
相続財産管理人の選任公告 |
2カ月
相続債権者捜索の公告 |
2カ月
相続人捜索の公告 |
6カ月
相続人不存在の確定 |
3カ月
特別縁故者への財産分与の手続き |
国庫に帰属 |
相続人が誰もいない場合には、上記のように相続財産管理人のもとで約10カ月間にわたり、相続財産の管理・清算が行われます。その後、3度の公告を経て「相続人の不存在」が確定しますが、その確定時より3カ月以内に、被相続人と特別の縁故があった者が家庭裁判所に対し、「特別縁故者に対する財産分与」の申立てを行うことができます。
特別縁故者として家庭裁判所より財産分与が認められる旨の審判が得られれば、その方は相続人でなくても、被相続人の財産を貰い受けることができます。
特別縁故者の財産分与の申立てに必要な書類は次のとおりです。
<特別縁故者への財産分与の申立>
申立人 | 被相続人と何らかの縁故のあった者 (例:被相続人と生計を同じくしていた者 被相続人の療養看護に努めていた者 そのた被相続人と特別の縁故があった者 など) |
申立期間 | 相続人を捜索するための公告で定められた期間満了後3カ月以内 |
申立先 | 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
申立の必要書類 | ・申立書 ・申立人の住民票または戸籍の附票 ・申立人と被相続人との特別の縁故関係を証する資料 ※事案により上記以外の資料が必要な場合があります |
申立費用 | 収入印紙 800円+切手代 |
実際に特別縁故者として家庭裁判所から認められるためにはどのような要件が必要なのでしょうか?
民法の条文上「被相続人と生計を同じくしていた者」、「被相続人の療養看護に努めた者」、「その他被相続人と特別の縁故があった者」とされていますが、結局のところ、当該民法条文の趣旨をもとに、家庭裁判所での裁量により特別な縁故の有無が決せられるという点は否めないようで、具体的な特別縁故者として認められる明確な基準として画一的に運用することは困難なのが現状です、過去に裁判所にて特別縁故者として財産分与が認められた事例を下記にてご紹介いたします。
・内縁の妻(東京可家審昭和38年10月7日)
・事実上の養子(大阪家審昭和40年3月11日)
・伯叔父母(大阪家審昭和39年3月28日)
・継親子(京都家審昭和38年12月7日)
・亡子の配偶者、未認知の非嫡出子(浦和家審昭和41年9月13日)
・亡継子の子(東京家審昭和47年1月19日)
・老齢で病弱の被相続人の近隣に住んでいて、同人のために洗濯や食事の世話をし、2回の入院
の際における看病や葬儀の世話をした民生委員(前橋家審昭和39年10月29日)
・被相続人の老後の相談相手になるなどして世話をし、病臥後は看病につくし、葬儀や祭祀の
主宰をしてきた、いとこの子(鹿児島家審昭和38年11月2日)
・被相続人の頼りになる唯一の相談相手となり、入院に際しては看護に努め、退院後は自宅に
引き取り、生活の一切の世話をした者(大阪家審昭和52年3月15日)
・被相続人の老人ホーム入所時の身元保証人や成年後見人となったほか、遠距離にも関わら
ず、多数回にわたり、老人ホームや入院先を訪れて、親身になって被相続人の療養看護や財
産管理に尽くすなどした被相続人の妹の孫(大阪高決平成20年10月24日)
・「その他被相続人と特別の縁故があった者」とは、民法958条の3に例示する前二者に準
ずる程度に被相続人との間に具体的かつ現実的な精神的・物質的に密接な交渉のあった者
で、相続財産をその物に分与することが被相続人の意思に合致するであろうとみられる程度
に特別の関係にあった者をいう。(大阪高決昭和46年5月18日)
・有効な遺言の方式を備えていないものの、相続財産を包括遺贈する旨のメモ書きを遺していることを考慮して特別縁故者関係を認めた例もある。(鳥取家審平成20年10月20日)
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当事務所では、将来、特別縁故者の財産分与の手続きを行うまでの過程で必要になる、相続財産管理人選任と、その前提となる相続人調査、相続財産調査など、相続人が誰もいない場合に必要となる各種手続きを代行しております。初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
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以上みてきたように、特別縁故者として財産分与を受けることは手続の手間と膨大な時間、そして家庭裁判所に「特別縁故者」として認めてもらうための審判が必要になるなど、非常に多くの障害があります。当方も実際、相続財産管理人として特別縁故者の財産分与の手続きまでかかわった経験がありますが、特別縁故者の財産分与を申し立ててから、審判がでるまでに1年ほど待たされましたので、実際の審判の期間を考慮すると、相続発生から財産分与までに約2年程度かかることは覚悟しなければなりません。
そして何より、「特別縁故者」として裁判所に認めてもらうための絶対的な基準というものが民法の条文以外に存在せず、結局は個別具体的な過去の事実関係をもとに家庭裁判所の裁量により結果が大きく左右されてしまうことから、不確定要素の高い手続きであると言わざるを得ません。
あなたの遺産を相続する方が誰もいないことが想定される場合、やはり遺言作成が絶対的に必要となります。相続人が誰もいない場合、これまでみてきたように膨大にな手間と時間をかけて特別縁故者としての財産分与を申立てたものの、裁判所から特別縁故者として財産分与が認められなかったら、それまでの苦労が水の泡。財産分与が受けられないばかりか、最終的には、当該財産は国のものになってしまいます。
そこで、あなたの大切な方が困らないためにあなたの元気なうちに遺言書を作成しておくことをお勧めいたします。きちんとした遺言書を作成しておけば、相続人がいない場合に必要となるこれら面倒な手続きを省略することができ、何より、あなたの大切な方に安心して財産を引き継がせることができるのです。
あなたの大切な方とあなたの財産を守っていくためにも、ぜひ遺言作成をご検討ください。当事務所では遺言作成に必要な各種手続きを代行、相続手続きの経験豊富なスタッフがあなたの遺言作成を万全にサポート致します。初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
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