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平成30年7月6日、民法相続法の改正法案が参議院で可決され、成立しました。2019年7月12日までに施行されることになる相続法の改正の概要をまとめましたのでご参考にしていただければ幸いです(配偶者居住権については、2020年7月12日までに施行)。
5 介護を行った親族以外の親族の金銭請求権
<施行日> 2019年7月1日
<何が変わるの?>
・相続人以外の親族(特別寄与者)が、被相続人に対し無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持または増加に貢献した場合、相続開始後、相続人に対し特別寄与料を請求することができるものとされました。
・特別寄与者には、被相続人の親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)であって、法定相続人ではない者が該当します。
・特別寄与料について、当事者間で協議のうえその額を決定することになるが、協議が整わないときは、特別寄与者が家庭裁判所に対して、協議に代わる処分を請求することができる。家庭裁判所は寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して特別寄与料の額を定めることになります。
・特別寄与料は、相続開始時の財産額から遺贈の額を控除した額を超えることができないとされていることから、被相続人が遺言で遺贈又は遺産分割方法の指定をしていた場合は、特別寄与料請求の余地はなくなります。
・貢献の内容として、「無償での労務提供」に限定され、寄与分制度の「被相続人の事業に関する財産上の給付」は対象になりません。
・特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6カ月を経過した時、または相続開始の時から1年が経過したときは原則として請求権は消滅します。
<特別寄与料の額>
各共同相続人の負担額 = 特別寄与料の額 × 共同相続人の相続分 |
「参考」<寄与者の具体的相続分の算定方法>
①みなし相続財産=相続開始時の財産額+特別受益にあたる贈与財産額-寄与分額 ②一応の相続分=①のみなし相続財産× 各相続人の法定・指定相続分 ③寄与者の具体的相続分=②の一応の相続分-寄与者が受けた遺贈及び上記贈与財産額+寄与分額 |
<改正内容を事例でみてみよう>※カッコ内は法定相続割合と具体的相続額
「改正前」
被相続人A男の長男の妻Xは、法定相続人ではないため、被相続人への介護等の貢献があったとしても遺言等がある場合を除き、財産取得は認められません。但し、C男が相続人の場合は、長男の妻XがC男の履行補助者として寄与分相当の貢献が認められる場合は、C男の寄与分請求の余地はあります。但し、C男が既に死亡している場合、Xには一切財産取得の余地はありません。 |
C男の寄与分を1,000万円とした場合の各人の具体的相続額
(前提条件:遺言なし、特別受益にあたる贈与なしの場合)
B子の相続額 (9000万円-1000万円)×1/2=4000万円
C男の相続額 (9000万円-1000万円)×1/4+1000万円=3000万円
D男の相続額 (9000万円-1000万円)×1/4=2000万円
「改正後」
被相続人A男の長男の妻Xは、法定相続人ではないが親族であるため、被相続人への介護等の貢献 があった場合、特別寄与料の請求により財産取得が認められる余地があります。 |
特別寄与者Xの特別寄与料の各相続人への請求額算定方法
Bに対する請求額 1000万円)×1/2=500万円
Cに対する請求額 1000万円)×1/4=250万円
Dに対する請求額 1000万円)×1/4=250万円
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